地方移住計画

東京の会社員が地方移住を実現するまで

#246 『ジャズに人が集まらない理由』を読んでみた

広告

以前から気になっていた『ジャズに人が集まらない理由』、Kindle Unlimitedの読み放題対象に入ったので読んでみました。

 

 

引用と感想

 

五感全てが通常通り機能している人が、いきなり他の感覚を断ち切って音だけに集中できるはずがありません

本当に音を聴いてほしければ、むしろライブでは日常と違う場を演出するべき

お洒落なお店で、ビシっとした衣装でミュージシャンがステージに立てば、「今から何か特別なことが始まるんだ」という雰囲気が出て、観客も集中しやすくなる

音楽論はさておき、単純に、ダサいものに人は集まりません。 ジャズそのものには世間は「お洒落」というイメージを持っています。 なのに、当のミュージシャンがダサいのはもったいない。 お洒落なジャズバーで、お洒落なミュージシャンが演奏していれば、それなりに人は集まり出す

MCも衣装も全部含めてライブなんです

まだまだ発展途上のアーティストでも、MCを練ってライブに挑めばある程度お客さんは掴める

 

ジャズライブのMCがひどくて衣装がダサい、という話。

 

ここはすごく共感した部分です。プロのライブにも何度も行きましたが、音はいいのに音意外の要素に無頓着なミュージシャンは実際結構多いです。MCもボソボソと何を言っているか分からなくて曲名すら聞き取れなかったり、ヨレヨレの服装だったり。

 

私自身はアマチュアミュージシャンであることもあり、特に音以外の部分でお客さんを引き込むことをすごく意識しています。例えば、お店には広くて清潔な場所を選んだり、MCのフリートークが上手なドラマーと組んだり、選曲をみんなが知っている親しみやすいものにしたり、少しお洒落してライブに望んだり。ライブは総合エンターテイメントだと思って毎回臨んでいます。

 

偏見かもしれないけれど、その点、女性のミュージシャンがいるバンドは、このあたりのレベルが高くなる傾向にあります。きちんとドレスアップしますし、トークも上手な方が多いなぁと思います。

 

 

ジャズミュージシャンは、記号が合っていれば音楽が成立していると思っています。 記号さえ合っていれば音楽は楽しめるもの、お金を取れるものだと勘違いしています

では観客は音楽の何を楽しみに来ているのでしょう? ひとことで言えば「エネルギー」です。 やる気、熱気、緊張感、表現は何でも構いません。 観客は記号の奥にあるエネルギーを感じたくてライブに足を運びます。 そしてそれを感じたとき、興奮したり、感動したりするのです。 逆に言えば記号などはほとんどどうでもいいんです

当時の観客は、今の音楽ファンと同じで、ジャズの漲るようなエネルギーを体感しにクラブに足を運んでいたと推察します

ジャズの記号合わせをやめ、エネルギー溢れる演奏を取り戻すためには、「入念なリハーサル」と「固定的なメンバー」が不可欠だと思います。 リハがなく、メンバーも流動的(悪く言えば寄せ集め)だから譜面という記号に頼らざるを得なくなるのです。

 

今回一番学びがあったのがこの部分!

 

そうなんですよね。お客さんは、演奏やミュージシャン自身から感じられる熱気とか、ミュージシャンどうしのコミュニケーションとかを見たくてライブに来てくれるんですよね。ただコード譜を弾きこなせばいいのであれば、それは録音でいい訳です。

 

「月1,000円で世界中の音楽が聴き放題のこの時代に、お客さんが一回何千円もするライブに来てくれるとしたら、それはなぜか?」というのは、アマチュアジャズミュージシャンとして自分も常に問いかけていることだったので、示唆が得られて良かったです。次のライブはよりいいものになりそう。

 

さいごに

 

この本自体はブログ記事をそのまま電子書籍にしたものであり、編集者による編集がされていないことを前提に読む必要があります。なのでKindleで500円払って読むよりは、Kindle Unlimitedに加入して読み放題の中で読むのがオススメです。30分くらいで読めますよ。

 

ただ内容は10年間のジャズミュージシャンとしての経験に基づいた本質的な指摘が多くあり、ジャズを実際に弾く方はもちろん、よく聴きに行く方にとっても新たな視点が得られる本だと思いました。

 

なお、作品の最後に「ご自分が改善しないのに提案するのは余計なお世話なので提案しない」とおっしゃっていましたが、自分が解決できなくても、「こうあるべきだ!」と声を上げることは世の中が変わるきっかけになるので、ぜひ書いて頂きたかったなと思いました。

 

個人的には著者の八幡謙介さんが、私も留学していたバークリーを卒業されていること、その後ジャズをやめて小説家になられたという経歴を知り、とても興味を持ちました。機会があればその他の作品も読んでみようと思います。